抑えておきたい資金調達法
小売店は売場の改善で業績を回復させることができ、上手に活用すれば同じ商品の陳列や配置を変えるだけで売上アップを期待できます。
しかし、低価格・品揃えに優れた大型店やネット通販の需要が増えているため、中小規模の小売店は新ジャンルの開拓やAIロボ・セルフレジによるIT化などコストをかけた改善の必要性が高まっていくでしょう。
新しい商品を売るための仕入れ費用、IT設備の導入、競合する大型店の登場などで売上が低迷した時の運転資金など、小売業では資金調達を求められる場面が増えていく見込みです。
資金調達法は実際に必要になってから考えるのではなく将来必要になった時のことを見据えて、早めに幅広い資金調達法の調査を進めておくようにしましょう。
今回は小売店で活用できる資金調達法を幅広く紹介していきます。
定番の銀行融資をはじめ新しいサービス、ちょっとグレーな裏技の紹介もあるので最後までご覧になってください。
銀行融資
資金調達法の定番で低金利での借入が可能なので、設備投資などまとまった資金調達に向いています。
ネックになるのは審査と資金調達スピードで、赤字決算の業者やスピードを求められる場面での活用には向いていません。
資金調達が必要な場面で必ずしも有効とは限らないので、これまで銀行融資を活用してきた業者の方も、他の方法を確認しておくとよいでしょう。
商工ローン(ビジネスローン)
銀行融資と仕組みは同じで融資元が民間の貸金業者になる貸付サービスです。
金利は銀行融資より高いですが、柔軟審査やスピード入金に対応できるメリットがあります。
小売業では運転資金の調達で利用する需要が高いです。
一部の貸金業者では限度額の範囲内で自由に借入と返済を繰り返し利用できるカードローンタイプを扱っています。
仕入れや運転資金のショートなど、少額な資金調達を繰り返している場合はカードローンを持っておくと便利です。
不動産担保ローン
銀行融資や民間の貸金業者で扱っている貸付サービスです。
テナントではなく自己所有の不動産を持っている場合に有効で、一部ではテナントの店舗を使っているけど経営者の自宅を担保に入れる活用事例もあります。
万一返済できなくなると不動産を差し押さえされるリスクがありますが、不動産を担保に入れることで高額な借入や柔軟な審査を期待できます。
なお、不動産担保ローンは審査時の現況調査や抵当権設定登記などの初期費用がかかるので、短期・少額の借入には向いていません。
ファクタリング
ファクタリングとは売掛債権を買取してもらう資金調達法です。
事業者同士の掛け払いがあるビジネスで幅広く使われていて、小売店ではクレジットカード債権を活用したファクタリングが普及しています。
キャッシュレス決済の普及によって、今後は小売業でもファクタリングを活用する需要が高まっていくでしょう。
ファクタリングの手数料は買取債権に対して3~20%が相場で、融資を受ける際の利息よりも資金調達コストは高くなります。
ファクタリング業者によっては赤字決算や税金滞納している事業者にも柔軟な対応を期待できるほか、最短即日入金などスピーディーな対応を得意にしているメリットがあります。
経営者個人名義の借入
経営者の個人名義の借入は、主に消費者金融とクレジットカードのキャッシング機能があります。
いずれも会社員よりも厳しい審査を求められ、少額の借入しか対応できません。
個人名義の借入では、開業前の会社員時代に発行したカードローンやクレジットカードを活用する事例が多いです。
クレジットカード現金化
クレジットカード現金化は、本来は資金調達が禁止されている変わりに高額な限度額設定をできるショッピング枠を活用した資金調達法です。
カード決済で買った商品に対して買取やキャッシュバックで現金に変える仕組みで多数の専門業者が登場しているほか、Amazonギフト券買取を活用する事例も増えています。
一部ではカード決済したものを経費計上して節税対策と資金調達を両立させている経営者もいますが、万一カード会社にバレると規約違反で強制解約や信用情報の事故扱いになりペナルティを受けるので注意しましょう。
グレーな資金調達法なので、活用する際は安全な方法を入念に調査した上で慎重に検討してください。